障害者が安心して生活できるような街づくりが少しずつ行われています。もっともっと障害者にやさしい世界になるといいですね。
地球環境にいま大きな変化がおきつつあります。
世界中いたるところで、異常気象がおこり、さまざまなかたちをとってあらわれています。
ハリケーン、サイクロン、台風がいずれも、これまでとは異なった強さとルートをもってひんぱんに発生しています。
北アメリカ大陸、アジア、ヨーロッパのいたるところで、雨の降り方が大きく変わってきています。
大洪水と大旱魅とが交代におこり、数多くの生命が失われ、自然が破壊されています。
海水面の上昇もいっそう高いペースでおこりつつあり、海流の流れにも大きな変化がみられはじめています。
さらに、地球上のすべての生物を守ってきた大気のオゾン層が大きく破壊されはじめるという深刻な現象もおきています。
地球的規模でおこりつつある環境の大きな変化は、地球温暖化という現象に集約されます。
地球温暖化の原因は、大気中にある二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの濃度が異常なペースで高くなっているためです。
大気中の二酸化炭素の濃度は、産業革命当時に比べて二五%上昇しています。
温室効果ガス全体をとってみると、じつに、五〇%上昇しているのです。
二十一世紀のなか頃には、産業革命当時に比べて、大気中の二酸化炭素の濃度は五〇%上昇し、温室効果ガス全体については二倍になると予測されています。
わずか三〇〇年ほどの期間に、大気中の二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの濃度がこのような高いペースで変化したことは、長い地球の歴史を通じても経験したことがありません。
二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの異常な増加によって、地球の気温が大幅に上昇しつつあります。
平均地表気温は、産業革命から二〇〇年の間に〇・七度上昇してきました。
とくに、この一〇年間の上昇は大きく、このままのペースで上昇しつづけると、二〇二五年には、産業革命以前に比べて、二度上昇し、二十一世紀のおわり頃には、四度ないし五度上昇すると考えられています。
このように大気中の二酸化炭素の濃度が高くなってきたのは、もっぱら、化石燃料の大量消費と、森林、とくに熱帯雨林の消滅がその原因です。
とくに、二十世紀を通じて、工業化と都市化がかつてない速度で進行し、石油、石炭などの化石燃料の消費もそれに応じて急速にふえてきました。
現代文明は化石燃料の大量消費によって支えられています。
地球温暖化はまさに、二十世紀文明の生み出した病理学的症候といってもよいと思われます。
二十世紀を通じて際限なく続けられてきた経済発展の流れは、熱帯雨林の大量の消滅という現象を生み出しました。
かつて、人類と自然の共生を可能としてきた、地球上のゆたかな森林はいまや跡形もなく消え去ろうとしています。
このことによって、地球環境は取り返しのつかないかたちで破壊され、人類の将来を危うくする危険をもっています。
一九八八年には、アメリカの中西部の穀倉地帯が大きな旱魅に見舞われ、夏の異常な高温もあって、農作物が大きな被害をうけたり大勢の人々が、飲み水がなくて苦しみました。
また、南極や北極のオゾン層に大きな穴があいて、紫外線によって、皮膚ガンの患者がふえつつあることが話題になったばかりでした。
アメリカではそのあとも、異常としか思えないような気象条件の変化、自然災害が相次いでおこりました。
一九九〇年秋には、フロリダで、今世紀最大というハリケーンが襲って、アメリカ史上最大の自然災害がおきています。
また、一九九三年には、ミシシッピー河が大氾濫をおこし、広大な地域が水浸しになって、一年近くも水が引かないという災害に見舞われました。
これも一〇〇年ぶりという大きな規模の自然災害でした。
日本でも、一九八四年には気象台はじまって以来という寒波に襲われました。
ところがその翌年には異常な暑さを経験しています。
一九八〇年代から現在にかけて、極端に雨の少ない年、逆に多い年が相次いでおこるという異常気象がつづいています。
同じような異常気象は、ほかの国々でもみられます。
たとえば、バングラディッシュでは、一九八八年秋に、大きなサイクロンに襲われ、河川が氾濫して、国土の三分の一が水没し、五〇〇〇万人の人々が住居を失ったといわれています。
つづいて、一九九一年には、史上最強のサイクロンに見舞われ、国土の三分の一がまた、海面下に水没して、二〇万人の人々が死亡するという災害がおこっています。
このような異常気象が世界の各地で、ひんぱんにおこっているのをみて、地球大気全体について大きな変化がおきているのではないかという不安を人々はもっていたのです。
ハンセン博士の証言は、人々がもっていた漠然とした不安には、充分な科学的証拠かおることを示したわけです。
ハンセン博士が証言するずっと前から、気象学者、地球科学者たちの間で、大気中の二酸化炭素の濃度が高くなると、平均地表気温が上がるという現象が指摘され、地球温暖化の懸念がもたれていました。
十九世紀末、スウェーデンの化学者アレーニウスは、大気中の二酸化炭素の蓄積が上がると、気温が上昇することを実験によって示しています。
一九三〇年代にはすでに、大気中の二酸化炭素の濃度が高くなりつつあることが指摘されています。
とくに、一九三八年には、イギリスの気象学者カレンダーは、大気中の二酸化炭素の濃度が、十九世紀のおわり頃に比べて六%も上昇していることを測定しています。
一九九〇年、国連は、IPCC(気候変動にかんする政府間パネル)という組織をつくって、地球気候の変化について、科学的な調査をはじめました。
IPCCは一九九一年六月に報告を出しましたが、それは、ハンセン博士の証言を裏書するものでした。
化石燃料の消費、熱帯雨林の伐採がいまのペースでおこなわれるとすれば、平均地表気温は、二〇二〇年にはヽ産業革命以前の水準に比べてヽ約丁八度上昇しヽ二十ご世紀のおわりにはヽ約四度上昇すると予測されています。
地球が経験した最後の氷河期(ヴュルム氷期)がおわってから一万年の間に、平均地表気温はたかだか一度しか上昇していません。
産業革命から三〇〇年ほどの期間に、平均地表気温が三度から四度も上昇するわけです。
平均地表気温が一度ないし二度変化するとき、地球の自然環境にどれだけ大きな変化をもたらすのか、を示すよい例があります。
恐竜が地球上から姿を消したのは、いまから六五〇〇万年ほど前のことですが、その原因については、はっきりした定説がありません。
最近出された仮説につぎのような考え方があります。
当時、地球に巨大な胆石が落ちて、地上に、直径一八〇キロメートルの大きな穴があいたといわれています。
その衝撃で、膨大な量の砂塵が大気中に散乱し、太陽の光をさえぎり、平均地表気温が二度程度下がったと推定されています。
この硝石の衝突による地球の自然環境の変化が元にもどるまでじつに1000万年かかったといわれています。
平均地表気温が二度下がったため、恐竜が生きのびることができなかったのです。
地球温暖化がもっともはっきりあらわれるのは、海水面の上昇です。
IPCCの報告では、海水面は、二〇三〇年には約二〇センチメートル、二〇七〇年には約四五センチメートル上昇すると予想されています。
二十一世紀のおわり頃には一メートル上昇するという予測をする学者もいます。
一八八〇年から一九八〇年までの一〇〇年間に、海水面は約一〇センチメートル上昇したとされています。
今から三〇年から一〇〇年ほどの間に、これまで人類が経験したことのないような大きな海水面の上昇が予想されるわけです。
人類の生活の大部分はいろいろな意味で、水と深い関係があります。
また、都市の多くは、河川のほとりか、海岸に近いところにつくられています。
海水面が四〇~五〇センチメートル上昇するとき、美しい、人口の多い都市が数多く消滅してしまう危険があります。
IPCCの報告通りに地球温暖化がすすむと、直接被害をうける人々の数は五億人を下らないだろうといわれています。
また、河川の流れに大きな変化が生じ、海岸の湿地帯もなくなってしまって、数多くの生物種が失われると予想されています。
地球温暖化というのは、地表の平均気温が、人間の活動によって年々上昇することを意味しています。
しかし、地球の気象状態は大変複雑で、さまざまなかたちで、地球温暖化の影響があらわれます。
地球温暖化がすすむと、雨の降り方にも大きな変化がおこると予想されています。
これまで雨の少なかった地域では、雨がますます少なくなり、逆に、雨の多い地域では雨がいっそう多く降るようになるといわれています。
このような気候の変化によってもっとも大きな影響をうけるのは、農業、林業、漁業です。
農作物や樹木の生育は、その土地の気象条件によって大きく左右されます。
また、魚介類の生息も海の温度がわずかに変化しただけでも、大きな影響をうけるからです。
これから二十一世紀にかけて、世界の人口は大変なペースでふえると予想され、食料不足が深刻になると考えられています。
地球温暖化によって、将来の世代がこうむる被害の大きさは想像をこえたものがあるのではないでしょうか。
このように、地球温暖化は、世界の自然環境を大きく変えて、将来の世代にわたって大きな被害を与えますが、それは人類の活動によってひきおこされたものです。
地球温暖化の原因は主として化石燃料の大量消費です。
石炭、石油、天然ガスという化石燃料を燃焼すると、二酸化炭素が大量に放出されます。
ところが、二酸化炭素は、大気の温度を高めて、地表全体をあたためる役割をはたします。
このような物質を温室効果ガスといいます。
もし大気中に温室効果ガスがまったく含まれていないとすると、地表の平均気温は零下八度にまで下がってしまってとても生物が生存することができなくなってしまいます。
温室効果ガスはごく微量ですが、大気中にちょうど具合のよい量だけ含まれ、地球の平均気温が一五度に保たれていて、美しい自然がつくられ、生物が快適に生きていくことができるのです。
ところが、産業革命以来、人類は、石油、石炭をはじめとする化石燃料を地中深くから大量に掘り出して、それを燃やして、大気中に放出しています。
化石燃料というのは、数千万年から数億年前に、地球上に繁茂していた植物が枯死し、炭化して、地中深く貯蔵されてきたものです。
人類は、それを毎年大量に掘り出して、燃やして、二酸化炭素のかたちで大気中に放出しているわけです。
つまり、数千万年、あるいは数億年というながい時間をかけて地中に固定化されてきた炭素を、毎年非常に速いペースでふたたび大気中に放出していることになります。
大気中の二酸化炭素の濃度が上がっているのは、化石燃料の燃焼だけでなく、熱帯雨林の伐採にも、その原因があります。
現在世界には約三六〇〇万平方キロメートルの森林がありますが、この数年間、毎年、二〇万平方キロメートル近くが消滅しています。
そのほとんどが熱帯雨林です。
焼き畑耕作、居住地の建設、材木の伐採など、原因はいろいろありますが、いずれも、大気中の二酸化炭素の濃度を高める結果となっています。
年々大気中に蓄積される二酸化炭素のうち、約四分の三が化石燃料の燃焼によるもので、残りの四分の一が熱帯雨林の伐採によるものと推計されています。
熱帯雨林の消滅は、その周辺に住み、熱帯雨林から生み出されるさまざまな資源を生活の糧としている人々にとって、生存の基盤をおびやかすものとなっています。
また、熱帯雨林のなかには、地球上に生存する生物種の大部分が存在するといわれています。
そのなかで、分類されて、学名をつけられている種はほんの一部でしかありません。
熱帯雨林の消滅によって生物種の多様性が失われることは、地球上の生命が、ながい進化の過程を経てつくりだし、まもってきた貴重な遺産を永久に失ってしまうことを意味します。
地球温暖化は、たんに平均気温の上昇、あるいは気候条件の大きな変化という問題だけでなく、現代文明のあり方とも重要なかかわりをもち、人間の生き方について大きな問題をつきつけるものです。
地球は、太陽系のなかでただ一つ、生命をもつ惑星です。
全宇宙でも、地球のほかに、美しい自然がつくりだされ、生物が生きている天体は存在しないのではないでしょうか。
このような環境がつくられているのは、地球をおおっている大気のおかげで、地表気温が平均して一五度に保たれているからです。
もし地球のまわりに大気が存在しなかったとすれば、地表の気温は零下一八度にまで下がってしまいます。
それは氷の世界で、生物が生きつづけることはできないでしょう。
地球は、太陽からエネルギーをうけますが、同じだけのエネルギーを宇宙空間に放出しています。
ところが、大気がちょうど温室のような役割をはたしていて、太陽エネルギーの一部が地表をあたためる作用をもつようになっています。
これを温室効果とよんでいます。
地球温暖化を考えるために、この、大気の温室効果について理解しておくことが必要となります。
地球をおおっている大気は、一〇〇〇キロメートルの厚さをもっていて、その四分の三が高さ一〇キロメートルまでのところにあります。
地上と同じ密度に圧縮すれば、大体八キロメートルの厚さになります。
大気の主成分は水分を取り除くと、窒素、酸素の二つの化学物質だということは皆さんもよく知っていることと思います。
じつは大気中にはこのほかにもいろいろな種類の化学物質が含まれていますが、ごくわずかしか存在しないので、微量気体とよばれることもあります。
このなかで、温室効果を考えるさいに重要なのは、二酸化炭素です。
二酸化炭素の化学式は、ふつう炭酸ガスといわれている気体です。
清涼飲料水やビールのなかに入っていて、泡となって出てくるのが、この二酸化炭素です。
二酸化炭素は、大気中に三五〇ppm程度しか含まれていない微量気体ですが、地球温暖化の現象で、大きな役割をはたします。
二酸化炭素の濃度をあらわすのにppmという単位を用います。
一ppmというのは、大気中の分子一〇〇万個のうち、二酸化炭素の分子が一個含まれていることを意味します。
ですから大気中の二酸化炭素が三五〇ppmというのは三五〇ppmの濃度、つまり大気の分子一〇〇万個のなかに二酸化炭素の分子が三五〇個含まれているというわけです。
大気中の二酸化炭素を重さであらわすこともあります。
このとき、二酸化炭素のなかに含まれている炭素の重さではかるので、三五〇ppmの二酸化炭素の重さは約七五〇〇億トンになります。
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